建築費の支払いタイミングはいつ?新築・建て替え・リフォームの工事別に解説

「建築費って、いつ、どのタイミングで支払うものなの?」
家づくりを考え始めたとき、多くの方が最初に感じる疑問のひとつです。
住宅は「人生で最も大きな買い物」といわれるように、その費用は高額です。
支払い時期を事前に知っておくことは、安心して家づくりを進める第一歩として重要です。
この記事では、建築費の基本的な支払い時期やパターン、新築・建て替え・リフォームなど工事の種類別の違い、ローンや補助金利用時の注意点などをわかりやすく解説します。
これから家を建てる、あるいはリフォームを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
1.建築費の支払いタイミングはいつ?

建築費の支払いは、契約から引渡しまで数回に分けておこなわれるのが一般的です。
ここでは、その理由や、基本的な支払いスケジュールについて解説します。
(1)工事費の支払い時期を把握することのメリット
資金計画を立てるうえで、工事費の支払い時期を事前に把握しておくことは、非常に重要です。
建築にはまとまった金額が必要となるため、各支払いタイミングに備えて現金や融資の準備をしておく必要があります。
また、工事の進捗と連動して支払いが発生するため、無理のない資金繰りを可能にするには、スケジュールを理解しておくことが欠かせません。
さらに、契約内容と照らし合わせて支払いに不明点がないか確認することは、トラブルの予防にもつながります。
とくにローンや補助金を利用する場合は、入金のタイミングにも注意が必要です。
こうした情報を把握しておくことは、安心して工事を進めるための第一歩といえるでしょう。
(2)建築費が一括支払いではない理由
建築費が分割払いになる最大の理由は、工事の進行に応じて費用が発生するためです。
建築では、設計・契約から施工・仕上げまでの工程が段階的に進むため、支払いもその進行に合わせて分けるのが一般的です。
とくに新築や建て替えは高額な費用がかかるので、一括払いでは施主側の負担が大きくなりがちです。
そこで、支払いを分割にすることで、無理のない資金計画を立てやすくなります。
また、工務店側にとっても、途中で資金を回収できることで、材料費や職人の手配などを安定しておこなえるメリットがあります。
支払いを分割にすることは、施主・施工者の双方にとってリスクを分散しやすく、現実的かつ合理的な仕組みなのです。
(3)基本の支払いパターンは「3分割のステップ方式」
建築費の支払いは、「契約金」「中間金」「完成引渡し時」の3回に分けて、それぞれのタイミングで1回あたりおよそ3分の1ずつ支払うのが一般的です。
これは、工事の進行に合わせて段階的に費用が発生することに対応するためです。
浅野工務店でも、設計契約後に3回に分けて建築費をお支払いいただくステップ方式を採用しています。
このように支払いを分けることで、施主側の資金計画がしやすくなり、工事の進行にも安心感を持てるようになります。
2.新築・建て替え・リフォームの【工事別】支払いタイミング

建築費の支払いスケジュールは、工事の種類によっても異なります。
ここでは、新築・建て替え・リフォームそれぞれのケースについて、工事の流れと支払いタイミングを具体的に解説します。
(1)新築工事の場合
まずは、新築工事から見てみましょう。
① 家が建つまでの一般的な流れ
新築工事は、契約から完成までに、さまざまなステップを踏みながら進んでいきます。
一般的な流れは、以下のとおりです。
- プランニング
- 事前審査
- 設計契約
- 本契約
- 地鎮祭
- 着工
- 上棟式
- 内装工事~外装工事
- 完成・引渡し
行程を把握しておくことで、それに応じた支払い時期の目安も明確になり、資金計画が立てやすくなります。
② 支払いタイミング
新築工事では、「契約金」「中間金」「完成引渡し時」の3回に分けて工事費を支払うのが一般的です。
先ほどの流れにおいての具体的な支払いタイミングは以下のとおりです。
- 「6.着工」:工事費の1回目を支払い
- 「7.上棟式」:工事費の2回目を支払い
- 「9.完成・引渡し」:残金を支払い
なお、ほかに「3.設計契約」の段階で、設計費の支払いも生じます。
(2)建て替え工事の場合
続いて、建て替え工事の場合を見てみましょう。
① 建て替え工事の一般的な流れ
建て替え工事の一般的な工事の流れは以下のとおりです。
既存建物の解体もおこなうため、行程がやや複雑になります。
- 現地調査
- プラン・間取りの提案・ご説明
- 見積もり
- 設計契約
- 本契約(解体工事契約を含む)
- 解体工事着工・完了
- 地鎮祭
- 建物本体工事着工
- 上棟式
- 内装工事~外装工事
- 完成・引渡し
なお、建て替え工事における「解体工事」は、請負業者によって扱いが異なるため事前の確認が必要です。
浅野工務店では、建て替え工事の一部として対応するため、解体費用も建て替え工事費の支払いに含まれます。
② 支払いタイミング
建て替え工事でも、建物の本体工事費は「契約金」「中間金」「完成引渡し時」の3回に分けて支払うステップ方式が基本です。
支払いのタイミングは以下のとおりです。
- 「8.建物本体工事着工」:工事費(解体費用含む)の1回目を支払い
- 「9.上棟式」:工事費の2回目を支払い
- 「11.完成・引渡し」:残金を支払い
建て替え工事においても、「4.設計契約」の段階で別途設計料が必要です。
浅野工務店では、一般に建て替えの工事費に解体費用を含みますが、解体工事に助成金を活用する場合は、手続き上別契約となります。
その場合の支払いタイミングについても、事前に確認しておくことが大切です。
足立区の解体費用助成金とは?
足立区では、老朽化した木造住宅などを解体する際、費用の一部を助成する制度があります。
対象は、不燃化特区内※で、昭和56年5月31日以前に建てられた旧耐震の木造または軽量鉄骨造の建築物です。
それ以外でも、区の調査で危険と判断された建物も含まれます。
助成額は最大280万円で、実際の解体にかかった経費、もしくは延床面積×単価(木造:28,000円/㎡、軽量鉄骨造:41,000円/㎡)で算出した額の、いずれか少ない金額が支給されます。
なお、助成金を活用して建て替え工事をおこなう場合、解体工事は本契約とは別に契約が必要となるため、スケジュールや支払いも個別に確認しておくことが重要です。
(※不燃化特区:災害時の延焼を防ぐために、老朽木造住宅の建て替えや除却を重点的に支援するエリア)
(3)リフォーム工事の場合
最後に、リフォーム工事のケースを紹介します。
① 小規模リフォーム:一括支払いが多い
小規模なリフォーム工事では、支払いを一括でおこなうのが一般的です。
たとえば、内装の一部補修や設備の交換などは、費用も比較的少額に収まるため、契約時に全額をまとめて支払うというスタイルがよく採用されます。
こうしたケースでは、あらかじめ工事内容が明確になっていることが多く、追加工事や仕様変更のリスクも少ないため、一括払いでもトラブルが起きにくいという背景があります。
一括払いは手続きが簡単で、支払いのタイミングを都度管理する必要がないため、施主にとっても負担が少なく精神的にもスムーズに進められるのもメリットです。
② 大規模リフォーム:基本の支払いタイミング
支払い額が高くなる大規模なリフォーム工事では、新築や建て替えと同様に、支払いが段階的に分けられることが一般的です。
その場合、基本的には、以下のような4ステップで支払いをおこないます。
- 設計契約時:設計費の支払い
- 契約締結時:契約金として工事費の一部を支払い
- 工事中間時:中間金の支払い
- 完成引渡し時:残金の支払い
工事内容によっては回数や金額の割合が変わることもあるため、事前に工務店に確認しておきましょう。
③ 一括と分割の支払い額の目安
リフォーム工事では、工事費が約100万円以下の場合は一括払い、それ以上になると分割払いが選ばれる傾向があります。
たとえば、壁紙の張り替えやトイレ・洗面台の交換など、数十万円程度で完結する工事は、契約時にまとめて支払う一括払いが多く採用されます。手続きがシンプルで、現場も短期間で終わるため、分割にする必要がないケースがほとんどです。
一方、キッチンや浴室のフルリフォーム、内装の全面改修、間取り変更、耐震・断熱工事など、費用が100万~数百万円を超える大規模リフォームでは、分割払いが主流です。
いくらから分割払いに対応するかについては工務店ごとに異なるため、工事金額の見積もり段階で、早めに相談・確認しておくことが大切です。
3.支払い方法の種類と支払い時期を安心して進めるためのポイント

支払い方法や資金の流れを理解しておくと、工事の進行中も安心して対応できます。
ここでは、主な支払い手段や補助金・ローン利用時の注意点、事前確認すべきポイントについて解説します。
(1)住宅ローン、リフォームローン、銀行振込、現金の違い
建築費の支払い方法には、「銀行振込」「現金払い」「住宅ローン」「リフォームローン」などがあります。
新築や建て替えでは、多くの方が住宅ローンを利用して費用をまかないます。
融資の実行タイミングや分割払いへの対応など、事前に金融機関との確認が必要です。
一方、リフォームローンは比較的小規模な工事に使われるもので、審査や手続きが比較的スムーズです。
銀行振込は最も一般的な支払い方法で、記録が残るため安心です。
現金払いは少額工事で用いられますが、紛失リスクがあるため注意が必要です。
それぞれの特徴を踏まえて、自分に合った支払い方法を選びましょう。
(2)住宅ローンやリフォームローン、補助金・助成金活用時の入金タイミング
住宅ローンやリフォームローンを利用する場合は、融資の実行時期に注意が必要です。
基本的に、住宅ローンは建物の完成・引渡し時に一括で融資が実行される「後払い型」です。
そのため、着工時や中間時の支払いに充てる資金が不足する場合には、つなぎ融資(住宅ローンが実行されるまでの間に、必要な資金を一時的に借り入れる制度)を利用するのが一般的です。
一方、リフォームローンも、原則として工事完了後の後払いとなるケースが多く、工事着手前や中間金の支払いに対応できないこともあります。
そのため、大規模リフォームでは、分割融資(工事の進行に合わせて段階的に融資が実行される仕組み)に対応しているかを事前に金融機関に確認することが重要です。
また、補助金・助成金についてもほとんどが後払い方式です。
工事完了後に申請をおこない、審査を経て入金されるまでに1~3か月以上かかるのが一般的なので、補助金を当てにしている部分についても、いったんは自己資金などで立て替える必要があります。
このように、ローンも補助金も基本的には「後から入ってくるお金」であることを念頭に、事前に資金計画をしっかり立てることが重要です。
(3)支払い時期を安心して進めるためのポイント
建築費の支払いでトラブルを避けるためには、契約前の確認が重要です。
まずは、契約書に「支払い時期」や「金額の内訳」が明確に記載されているかどうかを必ずチェックしましょう。
曖昧な表現や、口頭での説明のみに頼っていると、後でトラブルの原因となる可能性があります。
次に、工事内容に応じた分割払いになっているかもポイントです。支払いが前倒しになりすぎていないか、段階的な支払いが適正に設定されているかを、本記事を参考に見極めましょう。
また、工事途中で追加工事が発生することも想定されるため、その際の支払いルールも取り決めておくことが大切です。金額の算出方法や支払いのタイミングについても、着工前に確認しておけば、予期せぬトラブルを未然に防ぐことができるでしょう。
4.よくある質問

Q1. 建築費は一括で支払うこともできますか?
一括払いを希望される方もいらっしゃいますが、多くの工務店や建築会社では「3分割のステップ方式(契約金・中間金・完成引渡し時)」が基本です。
これは、工事の進捗に応じて公平に費用を分担する仕組みであり、施工側と施主側双方の安心につながります。
浅野工務店でも、設計契約費用の後は「基礎着工」「上棟」「引渡し」のタイミングでの3回払いを原則としています。
Q2. 設計契約金(約80万円)は工事費に含まれますか?
設計契約金は、工事費とは別に発生する固定費です。
浅野工務店では、正式な工事のお申し込みのタイミングとして、設計契約をさせていただきます。
お見積書の設計費用に充当し、工事費の一部とさせていただいています。
Q3. リフォーム工事では、必ず分割払いになりますか?
工事規模によって異なります。
100万円以下の小規模リフォームでは一括払いが一般的ですが、耐震補強や断熱改修などの大規模リフォームでは、新築同様に「契約金」「中間金」「完成時」といった分割払いのスケジュールが組まれます。
Q4. 足立区の助成金を利用した場合、工事費の支払いタイミングは変わりますか?
基本的な支払いスケジュールは変わりません。
工事費は通常通り「契約金」「中間金」「完成時」に分けてお支払いいただきます。助成金は、工事完了後に区へ申請・審査を経てから支給されるため、実際の入金は引渡し後数か月後になるケースが多いです。
そのため、資金計画を立てる際には「立て替え」が必要になることを理解しておきましょう。
Q5. 建て替え工事の場合、解体費用はいつ支払うのですか?
解体工事は、通常は建て替え工事の一部として対応するため工事費の支払いに含まれます。
助成金などを利用する場合は手続き上別契約となります。
その場合、解体工事の着工前に契約金、工事終了後に残金を支払うパターンが多いです。
足立区では解体費用の助成制度があり、対象条件を満たせば一部を助成金でまかなえる可能性があります。
Q6. 銀行ローンやリフォームローンを利用する場合、支払いはどうなりますか?
銀行ローンの場合、工事進捗に応じて分割融資(つなぎ融資)を受け、支払いに充てるケースが多いです。
リフォームローンは一括入金されることが多く、そこから分割払いを行います。
ローンの種類によって入金タイミングが異なるため、契約前に必ず金融機関に確認しましょう。
Q7. 工事の途中で追加工事が発生した場合、支払いはどうなりますか?
追加工事が発生した場合は、見積もりを提示し、双方合意のうえで追加契約を結びます。
支払いは、工事終了時にまとめて請求されることが多いですが、内容によっては中間金に組み込まれることもあります。
心配な場合は、契約時に追加工事の取り扱いを確認しておくと安心です。
Q8. 工務店によって支払いタイミングは違いますか?
はい。工務店によって細かいルールは異なります。
浅野工務店では「設計契約(約80万円)+工事費3分割」の明確なルールを採用していますが、会社によっては「契約金1割、中間金5割、完成時4割」といったケースもあります。
契約前に必ず確認し、書面に残しておくことが大切です。
Q9. 補助金や助成金は申請すれば必ずもらえますか?
いいえ。補助金や助成金には予算枠・条件・審査があります。
書類不備の場合は交付されない可能性もあるため、事前に工務店や行政窓口と相談しながら準備することをおすすめします。
Q10. 支払いトラブルを避けるために気をつけることは?
契約前に「支払い時期」と「金額」を必ず確認しましょう。
また、入金期限を守ることで工事の遅延を防ぐことができます。
助成金やローンを利用する場合は、入金タイミングがずれる可能性も考慮し、余裕を持った資金計画を立てると安心です。
5.まとめ

家づくりは、人生のなかでもとくに大きなプロジェクトで、費用も高額になりがちです。
建築費の支払いタイミングをしっかりと理解しておくことは、安心して家づくりを進める土台となります。
なお、支払いの流れや注意点は、新築・建て替え・リフォームなど、工事の内容によって異なります。
ローンや補助金を利用する場合は、実行時期、つなぎ融資の有無なども含めて、事前に丁寧に計画を立てておくことが大切です。
「どこまでお金がかかるのか不安…」
「ローンと補助金、どう組み合わせればいいの?」
そんな疑問や不安がある方は、ぜひ一度浅野工務店にご相談を。
施主さまが納得できるよう丁寧にご説明しながら、一緒に家づくりを進めていきます。
建てる前から建てた後まで、安心して任せられる家づくりをサポートいたしますので、まずは気軽にお問い合わせください。
著者プロフィール
浅野工務店株式会社 代表取締役社長
以来、足立区専門の地域密着型工務店として、お客様の住まいに対する不安や不満を解決することを使命とし、一つ一つの仕事を丁寧に、誠実に取り組んでいます。
足立区ならではの住環境や特性を誰よりも理解しているという自負のもと、地域住民の方々がより快適に暮らせるための提案を行っております。
足立区にしっかりと根を張り、地域の皆様に末永く愛される工務店を目指し、日々精進しています。
- 【最終更新日】2025年10月22日 14:54:50
- 【投稿日】2025年10月22日 14:54:49



