定年後、豊かに暮らす『終の棲家』
20〜30代で建てた家はその当時のライフスタイルに最適化されていて、50〜60代になり劣化が気になる頃には間取りが合わないと感じることが多くなります。
住宅性能も今よりも劣るケースが多く、「地震が心配だなぁ」「冬寒いなぁ」などと感じていることと思います。
「なんとなく不便だな」と感じている部分を放置していると、将来ケガや体調不良の原因になりかねません。
家の質で健康寿命が変わることを考慮し、リフォームか建替えかを慎重に判断する必要があります。
そこで今回の記事では、老後まで見据えてリフォームと建替えのどちらを選ぶか迷ったときのチェックポイントを紹介します。
「終の棲家」として定年後豊かな暮らしを送る家づくりのポイントも解説しますので、参考にしてみてくださいね。
目次
1. 定年前後に建替え? vs リフォーム?迷ったときのチェックポイント
家を建替えるか、それともリフォームするか迷ったときのチェックポイントを5つ紹介します。
(1)段差
高齢になるとわずかな段差でつまずきやすくなるため、段差の解消はとくに優先して検討すべき事項です。
まずは家の中の段差がリフォームで解消できるものかを確認します。
和室の敷居や浴室、トイレなどの水回りに多い段差は、基本的にはリフォームのみで解消できます。
ただし段差解消とあわせ、車いすでの利用を想定したトイレや浴室の拡張なども考えている場合には、建替えも含めて検討しましょう。
(2)動線
洗濯場から干し場までが遠く重い洗濯物を持っての移動が大変、老後を見据えてトイレと寝室を近づけたいなど、動線をよくするために間取り変更が必要な場合は、基本的には建替えを検討します。
家には構造上抜けない柱や壁があり、リフォームでは希望の間取りにできない可能性があるためです。
とくに2000年以前に建てられた木造住宅は最新の耐震基準に沿っておらず、場合によっては耐震補強が必要になることも。
間取り変更をともなう大がかりなリフォームは建替えに匹敵するほど高額になる可能性があるため、はじめから建替えを視野にいれるのがおすすめです。
(3)寒さ・暑さ
「夏はなかなか冷房が効かないぐらい暑く、冬は底冷えする」ようだと快適な暮らしはできません。
現在の家の断熱材の有無や劣化をチェックしましょう。
たとえば古い木造住宅では断熱材が全く使われていない若しくは壁には使われているが天井や床には使われていないケースが多く、とくに1階部分が寒くなりがちです。
外内壁や天井、床下への断熱材の充てんや交換だけであれば、大掛かりになりますがリフォームでも対応が可能です。
そうではなく隙間風などの問題もある場合には、「隙間風」の項をご参照ください。
(4)床がペコペコする
歩くと床がペコペコしたり、フワフワしたりする場合には、床材や床下、柱などのチェックが必要です。
床材自体が劣化しているだけであれば、張り替えリフォームをおこなえば問題を解消できます。
しかし床下の根太(ねだ)などの構造が腐食している、シロアリ被害に遭っている、柱がゆがんでいるような場合には、構造部分を含むかなり大がかりなリフォームが必要になる可能性があります。建替えを含めて検討しましょう。
(5)隙間風
窓から隙間風が入ってくるようなケースでは、家全体の断熱性が低くなってしまいます。
サッシが古いことが隙間風の原因である場合には、新しい窓への取り替えや内窓設置のリフォームをおこなうだけでよいでしょう。
一方隙間風が入ってくるのは、経年劣化や地盤の沈下などにより住宅そのものがゆがんでしまっているのが原因であることも。
そのようなケースでは、リフォームではなく建替えが必要になるでしょう。
(6)建てつけが悪い
ドアやふすまが開きにくい、または閉まりにくいなど建てつけが悪くなっていないかもチェックしましょう。
建具の滑りが悪くなっているだけであれば、建具自体を調整する簡単なリフォームだけで解決できる可能性があります。
ただし建具の建てつけが悪いと感じるときには、隙間風と同様に家全体のゆがみが原因となっている場合も少なくありません。
家のゆがみの見極めは建築の知識がなければ難しいので、リフォーム会社や工務店など住宅のプロに見てもらうことをおすすめします。
2. リフォームで対応できる暮らしやすさ
大規模な間取り変更をともなわないような内容であれば、リフォームだけでも快適な住まいを実現できます。
具体的には以下のような修繕はリフォームで対応できます。
(1)バリアフリー化
既存の住宅のままバリアフリーにしたい場合には、次のようなリフォーム工事をおこないます。
① 床の段差解消
② 玄関や廊下、階段、浴室、トイレなどへの手すりの設置
③ 廊下および居室の出入り口の拡幅
④ 滑りにくい床材への交換
⑤ ドアの引き戸への交換
バリアフリーリフォームをおこなうと、自身が高齢になったときはもちろん、幼児や妊婦など身近な大切な人が訪問したときでも安心して過ごせる家になるのがメリットです。
(2)明るさの確保
若いうちは問題なくても、高齢になると視力が落ちたり視野が狭くなったりするため、照明が暗いと転倒しやすくなり危険です。
かといって頭上の照明を明々と照らすものに交換してしまうと、夜トイレに行ったあとなど寝付きにくくなることも。
転倒リスクを減らすのが目的であれば、階段やトイレ前の廊下に足元を照らす予備灯を取り付けると安心です。
人感センサーのついたタイプを選べば、暗い中スイッチを探す必要もありません。
(3)温度差の解消
古い住宅は断熱性能が低く、とくに北側に配置されていることが多い浴室やトイレなどは底冷えする場合があります。
居間や寝室などとの温度差が大きいとヒートショック(急激な温度変化により血圧が乱高下し、心臓や血管に大きな負荷がかかること)が起こる恐れがあり、場合によっては命に関わります。
そのためとくに浴室やトイレのリフォームをおこなうときには、温度差の解消を念頭に置いて進める必要があります。
タイル張りの在来浴室を断熱性の高いユニットバスに変更する、トイレの壁や床には断熱材を入れ込むなど、ヒートショック対策は万全にしておきましょう。
内窓の設置だけでも冷気の侵入を抑える効果が大きいです。
3. 建替えで叶える豊かな暮らし
家の構造自体の劣化が進んでいる場合や、これからのライフスタイルにあわせた間取り変更をおこないたいときには、建替えを検討します。
建替えはリフォームと違ってすべてゼロから設計しなおすため、「理想とする終の棲家」を実現できるのがメリットです。
建替えを検討するときのポイントを4つ解説します。
(1)間取りから考える万が一のその先|車いす生活や介護も視野に入れた建替え
家の建替えを検討するときには、現在の自分たちのライフスタイルに合わせるのではなく、将来的な暮らしを考慮して間取りを考えることが重要です。
今はとくに問題がなくても、将来さらに年を取れば、いずれ家族の誰かが車いすの生活になったり、介護が必要になったりする日が来るでしょう。
そのような場合、手すりを取り付ける、使いやすい洗面ユニットに交換するといった簡単なことは部分リフォームで対応できます。
しかし車いすで使えるように浴室を広くしたい、トイレの場所を移動したいといったリフォームは、そう簡単にはできません。
人生100年といわれる時代です。家を建替えるときには、100歳まで快適に暮らせる間取りを考えましょう。
(2)余計なコストを絞り、必要な部分に十分手をかける「減築」の考え方
家を建替えるときには「今と同じ広さの家」を前提に考えがちです。
しかし本当に同じ広さにするべきなのかはよく検討が必要です。
たとえば今3階建てだとして、建築時より世帯人数が減っているなら2階建てでも生活できるのではないでしょうか。
家は広く高くなるほどコストがかかります。
今よりも減築すれば削減した予算で断熱性をより高くする、より高機能で使いやすい設備を導入するなど、住宅性能の高い家を建てられるかもしれません。
現在は建築技術や建材、設備の機能性が向上し、間取りや設備を工夫すれば、コンパクトな家でも快適に暮らせます。
どこにコストをかけるのか、減築も含めて検討することをおすすめします。
(3)建替えで根本的に見直す温度設計
建替えに際しては、温度設計を根本から見直すことも大切です。
温度設計というと断熱等級を高くすることばかりを考えがちですが、間取りの工夫によっても快適性を高められます。
たとえば採光を考えた設計にすれば、昼間は日光による自然な明るさを確保でき、冬であれば室温の向上も期待できます。
また風通しを考えて家の向きや窓の位置を設計すれば、夏でも冷房だけに頼らなくて済むことも。
温度設計を考えた家づくりをおこなうときには、その地域の気候条件に詳しい工務店などに相談するのがポイントです。
(4)地震に強い安心な家
近年大型の地震が相次いでいることを考えると、地震に強い家づくりをおこなうことも重要です。
家を建てるときには最新の建築基準法が定める耐震基準に沿って設計されるので、基本的には心配は不要です。
そして家を建替える場合は地盤調査をしてその結果を踏まえた地盤改良や基礎の計画をおこないます。
特に足立区のように地盤が弱い地域ではリフォーム工事で地盤の改良は難しいです。
4. 成功する『終の棲家』のポイント
リフォームや建替えで、老後を豊かに暮らせる「終の棲家」を実現するときのポイントを紹介します。
(1)コンパクトな居室
間取りを検討するときには、居室は夫婦2人でちょうどいい程度にコンパクトにまとめるのがおすすめです。
広々とした居室は開放感がありますが、掃除やメンテナンスをするのが大変です。
今は「掃除ぐらい」と思っていても、やがて掃除機やモップをかけるのが重労働に思える日がやってくることを忘れてはいけません。
また広い居室は熱効率も悪くなり、光熱費も高くなってしまいます。
定年後年金だけの生活になったときを想定し、できるだけ出費を抑えられるよう考えておくのが得策です。
(2)廊下や玄関、トイレは余裕のある間取り
居室はコンパクトにまとめるのがおすすめですが、そのぶん廊下や玄関、トイレは余裕を持たせた間取りにしましょう。
あらかじめ余裕のある設計にしておけば、万一将来車いすの生活になった場合に、間取り変更をともなうような大がかりなバリアフリーリフォームをする必要がないためです。
あわせて扉は引き戸にする、手すりを取り付けられるような下地材を入れておくといった細かな工夫をしておくと、将来的なリフォームコストを抑えられます。
(3)低くて使いやすい収納
収納は低くて使いやすい設計を考えることもポイントです。
壁いっぱいの壁面収納や吊り戸棚などを取り付けると、確かに収納力は上がります。
しかしものを収納するときや取り出すときに踏み台や脚立が必要になるようだと、足腰が弱ったときに危険です。
実際高齢者のいる住宅では、楽に取り出せる下の部分しか使っていない、といったケースは少なくありません。
それであるならはじめから低くて使いやすい収納を検討し、圧迫感のない空間設計をするのがおすすめです。
(4)バリアフリー化|高齢者住宅改修費用助成制度とは?
バリアフリー化に関しては、「高齢者住宅改修費用助成制度」の活用も検討しましょう。
「高齢者住宅改修費用助成制度」とは、要介護認定を受けた人が自宅で快適な生活を送るための改修工事に対して助成される介護保険の制度です。
手すりの取り付けや段差の解消、引き戸への交換など、多くのバリアフリー工事が対象となります。
そのため建替えに際しては間取り変更など大きな工事を優先し、手すりの取り付けなどは実際に必要になってから、制度を利用してのリフォームを検討してもよいでしょう。
(5)老後資金と住宅資金
家の建替えは大きな費用がかかることから、老後資金との兼ね合いを考えることも重要です。
貯蓄や退職金の多くを住宅資金に投じてしまうと、家はあるものの年金だけでは生活が苦しい…といったことになりかねません。
家を建てたあとも豊かに暮らすためには、住宅にかけられる資金がどれくらいなのかを慎重に考えることが大切です。
まとめ
定年後に豊かに暮らす家づくりを考えるときには、現在の家が抱えている問題や感じている不満を洗い出し、リフォームか建替えかを検討する必要があります。
そのためには家の状態をプロの視点で確認したうえで、資金にあわせた適切なアドバイスをしてくれる工務店選びが大切です。
足立区に特化している浅野工務店では、土地の特徴や気候条件を理解したうえで、お客様の希望や予算に応じた家づくりのサポートが可能です。
まずはお気軽にご相談ください。
- 【最終更新日】2023年09月15日 17:39:44
- 【投稿日】2023年09月15日 17:39:44